お子さんのいびきについて、不安を感じている保護者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。実は、いびきの原因は単に寝方や疲れだけでなく、口腔機能の発達に関係しているケースもあります。
本記事では、子どものいびきと「口腔機能発達不全症」との関連性を解説し、対処法としてMFT(口腔筋機能療法)をご紹介します。
目次
■子どものいびき、放っておいて大丈夫?
◎子どももいびきをかく?
いびきというと大人の問題と思われがちですが、実は子どももいびきをかくことがあります。
一時的な鼻づまりや疲労などが原因であれば心配はいりませんが、慢性的ないびきには注意が必要です。
◎睡眠時無呼吸症候群のリスクも
子どものいびきの背景には、小児の「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」が隠れていることもあります。これは気道が狭くなり、呼吸が止まる状態が繰り返される病気で、成長や集中力、学習能力にも影響を与える可能性があります。
■子どものいびきの原因とは?
◎口呼吸
鼻呼吸ではなく口呼吸が習慣化している子どもは、舌の位置が低い・口腔内の乾燥・気道の狭さなどの複数の要因が重なって、いびきをかきやすくなります。特に睡眠中は舌の位置が下がり、気道が狭くなるため、いびきが発生しやすい環境になります。
◎指しゃぶりや舌癖
指しゃぶりや舌を前に出す癖(舌突出癖:ぜつとっしゅつへき)が長期間続くと、舌や唇の筋肉バランスが崩れ、正常な呼吸が妨げられることがあります。これもいびきの原因の一つです。
◎顎や口の成長不全
顎の発達が不十分な場合、歯がきちんと並ぶスペースが不足し、「歯が生えない」「歯並びがガタガタになる」などの問題が生じやすくなります。顎の成長が不十分だと口が狭くなり、気道の狭さにつながります。こういった状態は空気が通りにくくなり、いびきを助長します。
◎小食・食べ方の癖
「小食」「すぐに飲み込む」などの食習慣も、口周りの筋肉を十分に使わない原因になります。その結果、口腔機能の発達に影響を与えることがあります。
■口腔機能発達不全症とは?|何歳までに改善すべき?
◎定義と症状
「口腔機能発達不全症」とは、食べる・話す・呼吸するといった口の基本的な機能がうまく発達していない状態を指します。
症状には以下のようなものがあります。
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常に口が開いている(口呼吸)
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いびきをかいている
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舌が前に出る
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よく噛まない・丸のみする(小食)
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食事に時間がかかり・食べるのが遅い
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発音が不明瞭
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歯が正しく生えてこない
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猫背など、姿勢が悪い
これらは5歳前後から明らかになることが多く、上記のような症状がある場合は、小学校入学前までに対策を行うのが理想的とされています。
◎放置するとどうなる?将来的な影響
口腔機能発達不全症を放置すると、以下のような問題が起こる可能性があります。
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歯並びの乱れ(不正咬合)
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顎の成長不足
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慢性的な鼻炎や風邪
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集中力の低下
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発音障害
特にいびきや口呼吸は、呼吸の質を低下させたり、歯並びの乱れ、睡眠の質や成長ホルモンの分泌にも影響を及ぼす恐れがあります。
■対処法として注目の「MFT(口腔筋機能療法)」
◎MFT(口腔筋機能療法)とは?
MFTとは、舌・唇・頬などの筋肉のトレーニングを通じて、口腔機能の正常な発達を促す療法です。子どもの口呼吸、いびき、歯並びなどの問題に対して、根本的な改善を目指します。
◎なぜMFTが効果的?
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舌の正しい位置を覚えさせる
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鼻呼吸の習慣化を助ける
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噛む力・飲み込む力を鍛える
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顎の正常な発育をサポート
ただ歯並びを整えるだけでなく、原因そのものにアプローチするのがMFTの特徴です。
【いびきの裏にあるサインを見逃さないで】
子どものいびきが「ただの癖」や「疲れ」だと思っていると、見逃してしまう大切なサインがあります。
いびき、口呼吸、小食、指しゃぶり、歯が生えない、食べるのが遅いといった症状が見られる場合は、早めに歯科医院で相談し、必要に応じてMFT(口腔筋機能療法)などの治療を始めましょう。